お読みいただく前に

 本稿は、筆記具の持ち方について、かなり限定的な話をしていますし、少々古くなっています。基礎となる考え方や別の問題については、以下にあるかも知れませんので、必要に応じてご参照下さい。



筆記具の持ち方を改善する方法について

2002.05.02

 本稿を類似する問題について、整理し直し文章が以下のものです。以下を先にご覧いただいた上で、本稿をご覧いただいた方が良いかと思います。

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 書を趣味(仕事?)とされる方から、e-mailをいただきました。身内の方の硬筆書字(いわゆるペン字など)についてアドバイスをしていらしていらっしゃるそうです。勉強していらっしゃる方は、字形などについて随分知識をつけられたそうです。

 しかし、頭の中でこう書きたいというイメージがあっても、そのように手が動いてくれないとのこと。この場合、認識・記憶に原因があるのではなく、運動の方に原因があるのかも知れませんね。この4年ほど、認識・記憶・運動のどの部分に(発達段階で) ネックになっている点があるのか研究していますが、運動が原因だとして、その指導を科学的に(臨床的に)研究していません。

 その後のやり取りの中で、とりあえず現在知られている持ち方の直し方について、書いてみることにしました。なお、なぜいわゆる「正しい持ち方」、私らの表現では「望ましい持ち方」が良いのかということは、現在研究の進行中ですが、Q&Aのページにも少し書いてありますので、ご参照下さい。

 では、以下、市販の用具と、輪ゴムを使った方法について記させていただきます。


市販の用具1

 まず、以下のような持ち方を直すグッズ(?)も売られています。(画像をクリックすると大きくなります。)

 これを使うと、3方向からきちんと押さえることができて、効果的に思えます。デメリットとしては、

があげられます。持ってみて違和感がなければ、ボールペンなど(回転の必要がない筆記具)につけて試してみると良いのではないかと思います。

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市販の用具2

 次に、こんな鉛筆も売っています。普通の鉛筆が6角形をしているのに対し、3角形をしています。

 すなわち、軸を3角形にすることで、先の図のように3方向から力を入れやすい持ち方にすることを意図したものと思います。
 これについても、極端に回転(120度)せざるを得ないという点がデメリットとなります。しかし、3方向からのグリップという点が優先されるとすれば、良いアイディアですね。

 それから、この鉛筆の箱の裏面には、専用鉛筆削りが載っています。これを見て、小さいお子さんがいらっしゃるお母さん方にお伝えすべきことを思い出しました。一般の電動鉛筆削りの場合、削る角度が軸に対して浅いため、鉛筆の先から削っていない箇所までの長さがかなり長くなります。小さいお子さんの場合、削ってある箇所を持たざるを得ず、無理な持ち方になっていることがあります。急角度で削れる、手動鉛筆削りを用いた方が良いかも知れません。(なお、これについては調査と研究をしています。が、なかなか忙しくて発表できずにいます。早く結果等を知りたい方がいらしたら、ぜひご連絡ください。)

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輪ゴムによる方法

 さて、私としては、上記のような用具を用いなくても、次に述べる方法でかなり効果があるのではないかと考えています。なお、この方法は、私のオリジナルではありません。どこかで読んだことがあるように思うのですが、その出典が思い出せません。記憶としては、15年くらい前に続木湖山先生からうかがったように思うのですが。。もし、この本に載っていたということがあれば、お知らせ下さい。

 まず、適度な長さの輪ゴムを用意します。鉛筆に二重に巻いてください。指が細い人は、三重でも良いかも知れませんが、きつすぎて指が青くなったりしないよう、お願いします^^;;

 次に、人差し指を図のように通します。

 この状態で、筆記具を持つように、手を動かしてください。親指を当てる位置だけは、注意してください。この状態で、3方向からグリップできていればOKです。

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 なお、修正前の持ち方が、次の2タイプの場合、この輪ゴムによる方法での効果は薄いと思います。自分で、親指の接する位置を直さなければならない=輪ゴムでは親指の位置は直りにくいからです。

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 特に、下の左の図のような持ち方の場合、効果があるだろうと思います。このように持とうと思っても、ゴムに引っ張られて、中→右の図のようになるはずです。なお、右図のようになりますが、筆記具の角度がたちすぎることがありますので、調整が必要です。

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 また、書字運動がうまくできない人の場合、この輪ゴムをつけた状態で、親指を伸縮させて、筆記具を回転させる運動なども、効果があるかも知れません。

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 もし、効果があったら(なかったら)、お知らせいただけますと幸いです。