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ひらがな「や」〜2画目が突き出る?〜 |
Date: 2005-02-16 (Wed) |
e-mailで、ひらがな「や」についてのご質問をいただきました。「2画目が突き出る書き方で書いていたのだが、これは間違いなのだろうか?」という趣旨です。
ひらがなの字形の問題については、以下で書いているとおりですが、「や」に関することについて(ご質問いただいたご本人の承諾の上で)掲載させていただくことにしました。
http://www.shosha.kokugo.juen.ac.jp/oshiki/graphono/HiraganaJikei/hiragana2001.html
http://www.shosha.kokugo.juen.ac.jp/oshiki/graphono/GendaiHiranga/HiraganaGendai2001.html
> 「 や 」については、短い方の斜め線は下に突き出るのか、出ないのか?です。
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> 否定されました。はっきりと、その書き方は間違いである、そんな字はない と笑わ
> れてしまったのです。落ち込みました・・・
厳密に言いますと、ひらがなの字形については、正しいか間違っているかを
明確にする基準が公的に示されていませんので、「間違いである」とはいえ
ないことになっています。
もちろん、極端な場合は常識的に「間違い」になるだろうとは思いますが。
ただし、「や」の場合、
> 突き出てる 「や」 の字が使われている看板の文字などを見せて、こういう字もあ
> るのよと言ったら、ふ〜んと言って少し納得はしていましたが・・・)
とお考えのとおり、ゴシック体やポップ系のフォントでは、突き抜けている
例がかなり見られます。
また、「や」の字母は「也」ですから、元々は突き抜けていたとも言えます。
平安期の仮名字形でも、突き抜けているものも見られ(有名な紀貫之・土佐日記
の写本にも見られます)、書いている時の勢いなどで変わりうるものとも、
考えられそうです。ただし、連続した際には、ごちゃごちゃするためか、
平安時代も後期になると、「点を打って縦画」的な書き方が多くなるようです。
> 息子にはどういう風に説明したらよいのでしょうか・・・?
小学校入学前〜低学年くらいのお子さんの場合、一般論としては、より社会に
適応しやすいものを示しておくべきではないかと考えています。(お母さんや
先生も子どもの前ではそのような書き方にする。)そして、、ひらがなの字など
は小さい子の練習するものといったイメージがありますが、中学年・高学年〜
中学生くらいで再度確認すると、きちんとした字になるという結果もありま
すので、その時にでも再度考えてみたらどうでしょうか。
> 私は、「 そ 」にしろ、「 や 」にしろ、一般的にはほとんど使われない書き方
> のひらがなを覚えてきたのでしょうか・・・?
どうしてでしょうね??
お子さんの時、大事に何度も読み返していた絵本の文字や、ひらがなを
学習する際に用いた本の文字が、そうなっていたのかも知れませんね。
今でも、かわいさなどからポップ系フォントを用いた絵本などもありますが、
一方で、学習という視点から配慮されているものも多くなりました。以前は、
そのような意識も薄かったように思います。(おやごさんも、とりあえず
見た目の良さを優先してしまいますもんね。)
文字は、社会で通用するものでなければならないことから、規範性を
もっていることは重要です。しかし、正誤・うまい下手といった視点
だけではなく、一人一人の特徴をそのまま大切にしていくような視点
も大切なのではないかと思っています。
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