香川県小教研書写部会 夏期講習会に参加して

金沢大学 押木秀樹

 香川県小教研書写部会は、『これからの書写指導』(香川県小教研書写部会編著 監修/藤原宏・久米公、編集指導/平形精一)でも知られる書写指導に大変熱心で先進的な実践をおこなっている研究会の一つである。同部会では、秋に大会を持つと同時に夏期講習会を開催している。その講習会に参加させていただく機会を得たので、ここに報告させていただく。

 講習会は、平成八年七月三一日、河南町において開催された。午前は、開会行事の後、河内小学校教諭小山恵都子先生の提案発表がおこなわれた。

 小山先生は、教具教材の工夫について、たくさんの例を示されたが、その多くは私も初めて見せていただく物であった。たとえば、水書板を用いる際も、用筆の学習をする場合と、字形の学習をする場合とがあろう。字形の学習の際に、用筆に気を取られて本来の学習の意図が不明確になる場合もある。小山先生の工夫された水書板は、その学習の意図を明確にするものであった。本誌上にて現物を紹介できないのが残念である。









 午前は続いて、賞状の記名や封筒の宛名書き等実用書についての実技研修。昼食をはさんで私の拙い講演「なぜ?と問いかける文字と書写―教師も児童も理解する書写指導へ―」をさせていただいた。講演内容については、
こちらをご参照いただくこととして、省略したい。







 さてその後、秋の研究大会に向けた授業・教材研究が行われた。私は五年生の研究会「創りあげようすばらしい仲間」に参加させていただいた。このグループでも、若い教員を中心に極めて活発な討論がおこなわれていた。もちろんベテランの教師が助言者として参加されていたが、研究会中はニコニコとされているばかりで、もしや書写には詳しくないのでは?と思われる程であった。もちろん、大変詳しく、さまざまな実践をされてきた方たちであることは言うまでもない。







 このグループの研究を拝見して感じたことの中から、二点のみ紹介させていただく。一つは、書写の授業を総合学習の一貫として捉え、具体的に他の人に見てもらう文書を書くことを目指しての取り組みであるということである。平成八年度の富山県での研究会では、学年のお祭りに上級生を招待するための案内状作りを目指しつつ、書写学習をおこなった実践が報告されていたが、それに類する物である。このグループの場合は、「仲間の輪」を創りあげることを目標とした年間の計画の中で、「学年団のちかいの詩」を書き上げるという目的を持って進められる授業である。書写学習の意欲化の一方法といえよう。もう一つは、学習の個別化への対応である。複数課題の選択が出来る授業展開において、ティームティーチングはもちろんのこと、CAIによる対応例も見られた。ちなみに同部会では香川県内のソフトウェアメーカとタイアップして、CAI教材の開発に取り組んでいることも付け加えておきたい。

 以上、簡単ながら、報告とさせていただく。なおこの研究会の成果は一一月の研究大会において、見事に花を咲かせたとのことである。私は出掛けることができなかったものの、研究紀要からも十分察することが出来た。


<========================= 選択のページに戻る ========================>

<========================= 押木研究室に戻る ========================>