■ 補足1:ハードなブラックお姉さんの証し?(朝日新聞):子供たちの筆圧は低下している? | Date: 2023-10-11 (Wed) |
なかなか書けずにいましたが、以下の記事を読んだという方から、ご連絡いただきました。ありがとうございます。
朝日新聞, ハードなブラックお姉さんの証し?(学校の「アレ」は今シリーズ)
2023.09.19(火)
この記事において、記者の方(谷さんという署名が記事にありますね)から、インタビューがあり、かなりの時間、お話しさせていただきました。
学校でHBが使われにくくなっていて、2Bが主になっているという事実が述べられています。そして、その原因として、子供たちの筆圧の低下があるのではないかという声が紹介されています。
ただ、HBと2Bとの販売実績については、トンボ鉛筆の川崎さんという方のコメントで、事務用のHBの需要が減少したことで2Bの構成比が高まっている面があることも紹介されています。そして、その次に私の以下のコメントが紹介されています。
以前の調査結果と近年のデータとを比較しても、子どもたちの筆圧が
低下しているという傾向は得られていない
これについて、補足させてください。少なくとも私たちの調査およびその結果と他の測定結果との比較等において、子供たちの筆圧が低下しているという傾向があるという結果は得られていないのですが、低下していないということを述べるだけの結果もありません。それが、上記の「得られていない」になります。主観的には、問題なるほどの低下があるとは思えないのですけど。
ここで述べておかなければならないことがあります。それは、子供たちの筆圧を平均で考えて、低下しているとか低下していないという議論をしがちですが、考えなければならないのは平均値ではなく、子供たち一人一人だということです。
筆圧が高い児童もいれば、適切な児童もいる、そして低い児童もいるということであり、高い児童、低い児童への対応が必要ではないかということです。私たちの研究室では、どちらかというと高い児童への対応を考えてきました。
押木,書字学習初期における緩衝機能付き硬筆筆記具の効果
−点画の書き方・筆圧の改善と書字意識から−,
書写書道教育研究,第35号,pp.53-63, 2021.03
などがそれにあたります。どうして高い方を考えてきたかというと、これまでの筆圧測定結果から、高い方で気になる児童が多いように思えたからです。しかし、筆圧が低い児童についても、検討していく必要はあるだろうと思います。
繰り返しますが、筆圧が下がっているかどうかが重要なのではなく、対応が必要な低い子供に対して何をしてあげるべきかということであると考えます。