■ 「点画のつながり」の学習内容を、なるほど!感のあるものにするために | Date: 2023-05-30 (Tue) |
書写の学習内容については、まだ研究成果が十分教科書に反映し切れていない、あるいは、小学校教科書に掲載するには高度であるといった部分もないわけではない。しかし、私自身が子供のころに比べれば、学習内容の意図が明確になっていると思う。適切に学べば「なるほど!」と思えたり、やってみたら自分の字が良くなった!と思えるものになってきていると思う。
ただ、私は2つの学習内容については、さらなる改善が必要ではないかと感じてる。それは「文字文化」「効果的に書く」ことの学習内容と、「点画のつながり」についての学習内である。
上記のうちの後者、「点画のつながり」は、平成29年小学校学習指導要領の第5学年・第6学年に示されている内容である。小学校の教科書を見ると、「点画のつながり」が書字において重要であり、「点画のつながり」を意識して書くべきであることが効果的に示されている。
教材の中で平仮名のつながりは、比較的納得しやすいように思われる。一方、漢字のつながりについては、改善が必要ではないだろうか。
この3月に、日本教育大学協会全国書道教育部門の研究紀要 第28集に、以下の論考を掲載していただいた。
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書写の学習活動あるいは教員養成と書字に関する基礎研究
−点画の書き方から行書までの動作の学習を例として−
/日本教育大学協会全国書道教育部門 研究紀要 第28集(令和4年度)
pp.14-23, 2023.03
この後半は、例としてではあるが、この件について書かせていただいた。
ポイントとしては、以下のとおりである。
楷書の学習、行書の学習と、完全に分かれた学習内容としてとらえるのではなく、連続した学習として捉えることはできないか。そのための視点として、以下がありうるのではないかということ。
・点画の書き方 ・ 筆順
↓ +筆圧
・点画のつながり +穂先の動き
↓
・行 書(楷書)
行書の学習→速く書くことの学習→速く書いても読みやすさを維持するための学習、ということの意識化。
菅野・寺島ら(2018)の調査結果と、根本・樋口(2012)の実践を参考とした学習内容の検討。
1点目と2点目は理論的に必要であり、特に3点目については、実際に取り入れてはどうかと思う。詳しくは、上記論考の後半をご参照願いたい。