筆記具の持ち方に関する研究を整理しておくと Date: 2022-03-02 (Wed) 
 人間はある程度、大きい物、太い物、重い物を掴もうとしたとき、親指と残る4本の指を向かい合わせるようにして把持します。それが、効果的な持ち方であり、そのように発達したかも知れません。
 さらに、小さな物、細い物、軽い物ではあるが、微細な動作を必要とする場合、親指と示指、あるいは親指と示指・中指で把持します。それが効果的な持ち方であり、そのように発達したのかも知れません。
 後者がおおよそ、教科書に載っているような筆記具の持ち方になるだろうと思います。おそらく、その点については、人間工学の専門家や人類の進化?についての専門家などの方が詳しいのではないかと思います。
 
 であるにも関わらず、
   1.なぜ現代の人間はその持ち方をしないのか、
   2.その持ち方をしないことにより何が起きているのか、
   3.それに対し、どのような対処をすることが人間にとって良いことなのか、
といったところが私たちが考えたいところではないでしょうか。
 
 「1.なぜ現代の人間はその持ち方をしないのか」については、以前紹介した尾崎康子先生のご研究、近位から中位の発達の段階で、本来遠位の動作であるべき「書字」の学習をおこなうことが、最も考えられる原因だと思っています。
 
 そして、「2.その持ち方をしないことにより何が起きているのか」といった実態を知るためには、近年ですと北海道文教大の矢部先生のご研究などが参考になるのではないかと思っています。
 
 その上で、「3.それにどのような対処をすることが人間にとって良いことなのか」といったところについても、研究していきたいと思っています。先に紹介させていただいた、以下のようなものも、それに役立たないかと思うところです。

・押木(2021),書字学習初期における緩衝機能付き硬筆筆記具の効果
 −点画の書き方・筆圧の改善と書字意識から−,書写書道教育研究 
 第35号,pp.53-63, 2021.03

・押木ほか(2019), 書字における筆圧の影響と筆記具による改善の可能性,
 書写書道教育研究,第33号,pp.41-50,2019.03

http://www.shosha.kokugo.juen.ac.jp/oshiki/ronbun/2021_%E6%8A%BC%E6%9C%A8_%E6%9B%B8%E5%AD%97%E5%AD%A6%E7%BF%92%E5%88%9D%E6%9C%9F%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%B7%A9%E8%A1%9D%E6%A9%9F%E8%83%BD%E4%BB%98%E3%81%8D%E7%A1%AC%E7%AD%86%E7%AD%86%E8%A8%98%E5%85%B7%E3%81%AE%E5%8A%B9%E6%9E%9C.pdf#view=Fit
 
http://www.shosha.kokugo.juen.ac.jp/oshiki/ronbun/2019_%E6%8A%BC%E6%9C%A8%E3%82%89_%E6%9B%B8%E5%AD%97%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%AD%86%E5%9C%A7%E3%81%AE%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E3%81%A8%E7%AD%86%E8%A8%98%E5%85%B7%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%94%B9%E5%96%84%E3%81%AE%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7%20.pdf#view=Fit


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