いわゆる左利きの子どもたちが毛筆を気持ちよく使えるように Date: 2021-09-28 (Tue) 
 今月2021年9月19日(日)に、全国大学書写書道教育学会香川大会(オンライン)が開催されました。

 今回、うちの研究室からは、以下の発表をおこないました。大学院生の市ノ瀬有香さんが中心におこなっているものです。

  硬筆を左手で扱う学習者が毛筆による書写の学習を効果的に行うための研究
   ―ラテラリティ・等価性・転移の理論をもとにした方策と実践―

 いわゆる左利きの子どもたちに対する書写指導について、その研究の遅れは、ずっと指摘されてきたところです。今回の研究は、その中でも書写における毛筆の学習に関するものです。

 硬筆筆記具を左手で扱う子どもたちが、小学校3年生で毛筆学習を始める際に、課題がありました。ある先生はそのまま左手で毛筆を扱わせ、ある先生は毛筆を右手で扱うよう指示するという問題が指摘されています。またそれぞれの場合において、どのような配慮が必要なのかといったことが明らかになっていないことも問題です。

 今回発表したものは、そのための基礎研究です。子どもたちが持ちたい方の手で持つことの妥当性とその根拠となる理論、左手で持つことによってどのようなデメリット、発表では非優位性という表現をしています、が生じるのかを明らかにして、それを解消するための方策を提案したものです。その方策については、大学生を対象とした検証をおこなっています。

 今回の提案がベストかどうかなど、わかりません。しかし、3つの調査に協力してくれた皆さんが、子どもの頃に今回提案の方策に巡り会っていれば良かったという趣旨の感想を寄せてくれています。今後、さらに分析を進めて論文化する予定です。またその時点で、今回提案した方策について、マニュアルのようなものをWeb上で公開できないかと思っています。

 そして、、この後最も重要なことは、実際に小学生に試してもらって、その効果を確認することになります。来年度に向けて、マニュアルのようなものに加え、用具を準備して、希望する方に使っていただき、その効果を報告してもらうことなどをおこないたいと思っているところです。もし興味を持っていただける小学校の先生がいらしたら、また研究団体や場合によっては書塾の先生も含めご協力をお願いしたいと思っています。

 引き続き、進行状況を報告させていただきます。


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