筆圧は低下傾向? AERA「子どもの手書き離れで学力低下の恐れ…」 Date: 2021-06-25 (Fri) 
 少しまえに、AERAのネット上のページに、以下の記事が載っていることを教えていただきました。

『子どもの「手書き離れ」で学力低下の恐れ 筆圧も低下傾向で「書いてあることが判別できない」』
https://dot.asahi.com/aera/2021060200012.html

 「手書き離れで学力低下」の方が一般には、注目されがちかも知れませんが、とりあえずこちらとしては「筆圧も低下傾向」の方に着目したいと思います。

 記事の中で長崎大学の鈴木慶子先生が「本来は余分な力をかけずに書けるというのが正しい書き方で」と述べているように、小学生の筆圧は1年生の段階でかなり高く、それが調整できるようになって、適切な筆圧に落ち着くとするのが一般的です。ただし、この知見は1970年代の南哲氏によるものであり、現代、改めて調査する必要があるだろうと思います。

 私たちの研究室でも、小学生の筆圧を測ることがありますが、それほど多くの被験者を対象としていないため、一般化はできません。ただ、たいてい適切な筆圧か、高めの値を示しているように思います。筆圧が高めの値を示す場合、大学生でも、書字により疲れやすいという傾向があります。一方、調査にうかがった際に、この子は筆圧が低いようなのだが、測ってみてもらえないかという依頼があったこともあります。一概に言えませんが、筆圧が多様になってきているということかも知れないです。その原因としては、鈴木先生が指摘しているように、持ち方の問題も大いにありうると思います。

 少し宣伝ですが、筆圧を適切にし、望ましい書字動作をおこないやすくする筆記具の開発をしていますが、現時点での成果を論文にすることになりました。近いうちに、リポジトリに登録して、読みやすくしたいと考えています。よろしくお願いいたします。

 書字学習初期における緩衝機能付き硬筆筆記具の効果
  −点画の書き方・筆圧の改善と書字意識から−

   / 書写書道教育研究 第35号 (全国大学書写書道教育学会・文伸)

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