■
かご字の練習が、塗り絵的に、、 |
Date: 2007-07-11 (Wed) |
小学校の先生から、補助教材としての「かご字」の教材についてのお話がありました。「かご字」とは、いわゆる毛筆のお手本の輪郭線のみのもののことです。これが、補助教材として使用されることがあります。いただいた内容は、この「かご字」の補助教材を用いたところ、
子どもたちは、文字を書くというよりは、ぬりえのような感じで
勢いのないぺったりとした字を書いていました。かえって、普通に
練習させた方が効果的な感じがするのですが、、
というものです。
実は、このメールを下さった先生、指導する力のある先生であることがある程度予測できています。この問題は、基本的に次のように考えられるのではないかと思います。
・補助教材なしで、学習目標を達成できるのなら、補助教材は使う
必要がない。あるいは補助教材を使うことが、学習目標を達成する
ための学習者の努力や学習時間を軽減しないのなら、補助教材を
使う必要がない。
・補助教材も、学習者が何のためにそれを使うのかということを理解
できていないと、効果を発揮しないこともある。言い方をかえれば、
学習者が補助教材なしに学習することの困難さを感じていて、補助教材
を用いることで、その困難さが解消することが理解できていなければ、
その効果は低いものになりかねない。
ということだと思います。
そもそも、補助教材を用いなくても、上手に指導できる教師であれば必要ないわけですし、同様に、上手に学習できる学習者にとっても必要ないものと思います。必要ないとまではいかなくても、効果が感じにくいこともあると思います。
毛筆を用いた学習を、筆使いの学習と、字形の学習とにわけて考えたときに、それらの学習の何を意図しておこなっているのかが問題になります。これも大まかにいえば、骨書きは字形の学習などに主として用いられ、「かご字」は筆使いの学習に主として用いられる傾向はあると思います。
たとえば、左はらいの形状がよくわかっていないため、単に勢いよく抜いているだけで妙なはらいになっている子どもがいたとして、その妙なはらいの形と、あるべきはらいの形とに気付かせる際に、「かご字」を用いれば効果はあると思います。
何も意図せず、また注意事項なしに、かご字のなぞり?をさせて場合、塗り絵的で書字動作にならないという話は、聞くところです。仮に、払いの形状に気付くだけで良ければ、塗り絵的でも良いこともあり得るでしょう。気付いて、なぞりをしない時にも、その形が目指せるようになれば良いわけですから。
一方、気付くだけでなく、筆使いそのものもかご字のなぞり?で学習させる場合は、書字動作であることの注意が(場合によってはしつこいほどに)必要になるのではないかと思います。
ですから、教師の方で、こうなってほしいという「願い」をもって使用させないと、いずれにしても効果的に機能しないこともあるように思います。
教師が筆使いの指導等を適切におこなっていて、補助教材の必要性も感じず、「願い」なしに「かご字」を使用させれば、子どもたちも効果的に使用しないことが予測されます。もちろん、適切な指導ができていれば、何も補助教材を使う必要はありません。
一方、小学校の先生でも、書いてみせるなどの実技の苦手な先生もいらっしゃるでしょうし、その場合、頭を使い、補助教材を用いて、子どもたちを(実技が上手な先生と同じだけの)レベルに達しさせることがあっても、それは良いと思うのです。
気をつけたいのは、やみくもに使えばよいという発想のように思います。
- このページの内容について著作権は放棄していません。使用の際は、必ず「著者名:押木秀樹」と「出典:www.shosha.kokugo.juen.ac.jp」「年月日:本ページ上部に掲示」を明記して下さい。
[前頁]
[次頁]
トップ
検索
(管理用)