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筆跡と性格とコミュニケーション |
Date: 2006-01-22 (Sun) |
昨年の書写書道教育学会の20周年記念シンポジウムにて、書字とコミュニケーションについて、パラランゲージの問題から述べました。そのことについて、メールをいただきました。また、筆跡と性格についての質問もここ1-2年寄せられます。そのことについて、少し書いておきたいと思いました。
筆跡と性格の関係については、古くから述べられ、また近代では研究としておこなわれています。ただ、現代の視点で見た時、占いのようなものへの興味を別にすれば、もっと大切にしたいことがあるように思います。
人と人とのコミュニケーションにおいて、たとえば恋人でも友人でも、信頼できる仕事仲間でも、メールよりは電話の方が、電話よりも直接あった方が、うれしい/信頼できる感じがします。ノンバーバルコミュニケーション(電話だとパラランゲージ)といわれる部分が、大きいからです。
声や表情、身振りといった、その人そのものをあらわす部分が、人と人とを結びつけます。これらは体の動きを伝達します。なんでもパソコン・携帯の時代になると、その部分の欠落から来る不安感が起きても当然だと思います。手で書くことも、その人らしさを伝達するコミュニケーションだといえるでしょう。手の動かして書くという動きや、書いている時間が、そこに残るからです。
だとすれば、その人らしさが表れやすい筆記具というのが好まれても当然かも知れません。日記にも、、、未来の自分へのコミュニケーションといえるかも知れません。
手書きの文字は体の動きからできています。持ち方や姿勢と、文字の特徴は関係があって当然なのかも知れません。きれいかどうかという問題も、その人らしい文字であるという問題もあると思います。
きれいであることが必要かどうか。その人らしければ、何でも良いと考えるのは早計だと思っています。誰しも、相手に不快感を与えたくはないですよね。できたら、良い感情を持ってもらえるに越したことはありません。その意味で、ある程度のレベルの「きれい」は必要ではないでしょうか。
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