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書くたびに筆順が違う!? |
Date: 2025-03-28 (Fri) |
母語として日本語を話す人たち、という言い方は正確ではありませんね。小学校から「国語」を学習してきた人たちは、同じ漢字を書く際、書くたびに筆順が変わるということは、ほぼないといって良いと思います。
しかし、第2言語として日本語を学習している人たちにおいては、書くたびに筆順が違うというという事例を聞くことがあります。日本漢字学会の機関誌、「学会通信漢字之窓」第5巻第1号(2023年6月)に掲載されている徳弘康代先生の「外国人が日本で幸せに生きていくための漢字の量」においても、そのことが指摘されています。
逆に、なぜ「国語」学習者は、毎回同じ筆順で書けるのか、毎回同じ筆順で書くのかということも確認しておきたいと思います。もちろん、筆順をしっかり学習しているからであるというのが、その最も大きな要因だと思います。しかし、私たちが漢字を構成要素で捉えているからということを忘れてはなりません。わかりやすくいえば、扁や旁、冠と下の部分などといった単位で漢字を捉えているからだということです。文字を書くときに、扁の点画を書いて、旁の点画を書いて、また旁に戻ってといった書き方はしません。
編や旁といった単位は、多くの人にとってわかりやすいと思います。筆順を情報として持ちながら、さらに細かく分けていくことと何が見えてくるのかというのが、わたしどもの研究室における礒野・寺島・菅野ら(敬称略、以下同)の一連の研究になります。
菅野・寺島・押木, 常用漢字の構成要素とその筆順構造の分析,
書写書道教育研究, 第32号, pp.31-40, 2018.03
最も単純なところまでいくと、「二 十 人 口 …」 といったパターンになるわけですが、それを実践として考えたのが清水の論考であり、そのルーツは青山浩之先生の実践と論考にあります。
昨年、久しぶりに第2言語としての日本語学習者の漢字学習において、こういった知見を意識的に用いることに効果があるのではないか、と思える場面に立ち会いました。(Yさんありがとう!) 私自身は、日本語教育に関わっているわけではありませんが、効果があるか、またどのように用いていくべきかについては、とても興味があります。
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