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書写の授業は変わるべき、どう変わるべき? |
Date: 2025-04-01 (Mon) |
書写のように一貫して変わらない学びは文化の継承として大事だと思いますよ、
とある方に言われました。もちろん、すべての学びにおいてそういう部分はあると思いますし、書写にもあると思います。ただ、お世話になっている山梨大学名誉教授の宮澤正明先生が、「書写における不易と流行」という視点でお話しくださることが多いように、書写においても当然変わるべき点はあるはずです。
学習内容、何ができるようになるかという点では、「読みやすい字が、適切な速さで、目的や必要に応じて適切に書くことができる」という基礎的な資質能力として一貫していると思います。ただし、その点においても、字形の規範性と、個人性のバランスの変容などは、当然意識していく必要があると思います。
一方、学習方法、どのように学ぶかという点では、時代に即した学びであることが、書写においても当然だと考えます。合田哲雄氏(文化庁次官、以前初中局の課長でいらした)は、AIと学びに関する論考の中で、
・問いを立てる力、
・身体性に基づく思考や対話の中から知性を見いだす力
の重要性をしています。そして、「教師が教科書の冒頭から順に説明し、子どもたちはとにかくひたすら教師が説明したことをノートに書き写す授業において、教科書を魅力的なツールだと思わない子どもは多いだろう。」ともしています。書写も試し書きをして考える活動を取り入れる授業過程が提唱されてきました。しかし未だに教科書の手本を書き写す授業スタイルも少なくないようです。
自身の字をより良くする書写の学びとはどういうものかを、児童自身が考える書写の授業過程でありたいものです。「字は、どうしてよくしないといけないの?」という問いも大切だと思います。その答えを持って、さあ、自分の字を良くするぞ! では、どうやったら良い字になるだろう?」という問いにつながっていくような授業ができるよう、教員養成でも教科書に関しても考えていきたいと思います。
※合田哲雄「生成AIと主体的・対話的で深い学び」(教室の窓 vol.71 pp.4-5 2024.01)
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