フォントとパラ言語的機能(2つの展覧会から) Date: 2024-04-01 (Mon) 
 3月に2つの展示を見てきました。

  21_21 DESIGN SIGHT で開催されている、企画展「もじ イメージ Graphic 展」

  市谷の杜 本と活字館 で開催されている、企画展「活字の種を作った人々」

この2つです。

 私は、文字言語におけるパラ言語的機能について、いくつかの論文※で触れています。 これは、これらは手書きに関する論考ですが、もちろん印刷用のフォント・活字などにも、その機能はあると考えます。

 私は、パラ言語的機能について、以下の二つに分けて考えてはどうかと提案しています。

  ○属性・状態に関するもの
  ○コミュニケーションの意図

正確ではないかも知れませんが、わかりやすく表現すると、前者は

  ・その人らしさ

であり、後者は、

  ・気持ち・意図

が伝わるかどうかといった問題です。フォントなど印刷用の文字の場合は、どちらかというと、後者、コミュニケーションの意図・言語表現の内容をよりよく表現することが、パラ言語的機能になると思います。その意味で、

 「もじ イメージ Graphic 展」

は、大変おもしろい展覧会でした。展覧会から話がそれますが、「DNP 秀英体」のサイトで紹介されている、

  感情表現フォントシステム
  https://shueitai.dnp.co.jp/fontsystem/

はまさにそのことだと思います。一方、あまり脚光を浴びることはないかも知れませんが、フォントや活字にも、その人らしさに類するものも、あるはずであり、その点、

 「活字の種を作った人々」

は、大変興味深い展覧会でした。どのように、、ということも書きたいですが、今日はこのくらいにします。なお、昨年の書写書道教育学会で後者に関する発表がありました。その視点は珍しいと思います。文章化されることを楽しみにしたいと思います。

  ※押木・寺島・小池, 手書き文書におけるパラランゲージ的要素による伝達に関する基礎的研究, 書写書道教育研究, 第24号, pp.21-32, 2010.03
   http://www.shosha.kokugo.juen.ac.jp/oshiki/ronbun/2010_tegaki-para-lang-kiso.pdf

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