金沢大学書道ゼミ旅行 1996 京阪神

報告 学部3年 上田 智

 毎年恒例となっている私たち書道ゼミ旅行は、昨年の書学書道史学会参加・良寛と会津八一関係の見学に続き、今年度は京阪神方面の美術館を巡ることになりました。有志で、十月に岡山での学会参加・倉敷の美術館巡りをしているため、ゼミ生の中にはふた月連続の旅行となった者もいます。

 今回の旅行は、初日に院生と先生が大阪市立大学での情報処理学会「人文科学とコンピュータ研究会」に参加し、大阪市立美術館などの見学をしています。私たち学部生・留学生は、二日目すなわち十一月十六日から合流、十七日までの二日間となりました。

 一日目。金沢を出る時は雨がぱらついていたのですが、さすが太平洋側と思えるくらい神戸は晴天でした。まず初めに訪れたのは鉄斎美術館。清荒神駅から参道を歩くと、両側に並ぶ門前の店はどこか懐かしい感じがして、大変お薦めです。清荒神をお参りして館内へ。展示室は一つなのですが、広いスペースに「秋期名品展―清荒神と鉄斎―」というタイトルで約八十点もの作品が展示されていました。鉄斎の酒脱さ、スケールの大きさから迫力が伝わってきました。

 午後は、白鶴美術館。住宅地の中に渋い青緑色をした建物が見えて来ると、不思議と荘厳な感じがしてきます。石段を登って行くとまだ阪神大震災の爪痕が残っています。「古代中国美術の精華」と題された秋期展が開かれており、青銅器を中心に約七十点を見ることができました。鏡・酒器など鋳込まれた鳥獣の文様を初めとして、金文も見ることが出来ました。

 二日目は、紅葉が見頃の京都市内を回りました。まずは京都国立博物館へ。常設展示の仏像や古い出土物に加え、特別展「室町時代の狩野派」を楽しみました。

 次は藤井有隣館へ。建物自体は決して大きいという印象がないものの、館内には書画や記銘の入った仏像が所狭しと並んでおり、唖然としてしまいました。黄山谷・王鐸の真蹟、北魏の仏像などを見るにつけ、色彩・用筆などその迫力は写真で見るのとまったく違うことを認識しました。本物はやはりスゴイ! なお、ここは寒かったです。お出かけの際は、開館時期の確認と防寒をお忘れなく。

 その後平安神宮の前を通って、泉屋博古館へ。ここでも常設の青銅器を数多く見ることが出来ました。また「中国書画展」も開かれており、八大山人などの明末清初の作品を含め三十三点を見ることが出来ました。

 今回は、新しく入ったゼミ生に美術館めぐりの楽しさを知ってもらおうという趣旨で、駆け足で五つの美術館を巡ることになったようです。自分の好みにあった美術館を、改めてゆっくりと回ってみたいという感想が強く残りました。パンフレットや図録などを大切に残し、また出掛けたいと思います。以前のゼミ旅行では、ゼミ生以外の一般の方も参加したことがあるそうです。皆様もいかがでしょうか。



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