「木という字ははねてよい」って習いました

-文字の許容の問題-

押木秀樹   

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 点画の終筆部の特徴とその意味についての授業において、導入のやり取りをしていた際に、ある学生から、

という発言がありました。みなさんは、どう思われます。「そんなことあるのか?」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。

image001.jpg  この学生が習ったという教科書を持ってきてもらいました。それが右の図です。クリックして、見てみてください。

image002.jpg

 この図は、その拡大です。小学校3年生の「書写」の教科書です。

image003.jpg  さらにこちらは、その教科書に準拠した「学習帳」です。確かに、はねてある「木」という字に、マルがついています。


 そうなのです。日常の書字活動においては、「木」という字の2画目をはねて良いことになっているのです。そして、そのことは小学校における書写の学習内容として、このようにおこなわれているのです。ちなみに、この学生は、小学校3年生の時に習ったそうです。現在は、5年生くらいで学習することが多くなっています。

 この学生は、「よくおぼえていた」とほめてあげるべきだと思いました。また、指導した先生もしっかりやってくださっていたのでしょうね。


 規則上はどうでしょうか?  昭和56年10月1日内閣告示の「常用漢字表」(付)字体について解説には、次のようにあります。

この中の「筆写の楷書では、いろいろな書き方があるもの」について、「常用漢字表」から末尾に引用しておきます。


 では、最初から「どうかいても良い」と教えれば良いのでしょうか? 確かに、次のような質問を受けることが良くあります。

  1. 漢字テストで、はねてないいうことで、ばつになりました。別にはねてなくても読めると思うのですが?
  2. 木へんははねず、手へんははねるのはなぜ?
「はねたり/はねなかったり」することの意味については、「はねの機能性と装飾性について」で書いていますので、ぜひそちらも読んでみてください。