全国大学書道学会 1996年度 岡山大会 報告 

     報告 学部4年 田中有希子


 平成8年10月9日、岡山大学において、平成八年度全国大学書道学会が開催された。今大会では10名が研究の成果を発表した。その題目と発表者について、以下に記す。

  1. 合文」考―曾侯乙墓竹簡の用例を中心として― 福島大学 福田哲之
  2. 石鼓文の成立年代に関する位置考察 新潟大学 星憲一郎
  3. 居延漢簡における長垂の一考察 東京学芸大学 山本幸博
  4. 行書考―その発生と初期的変遷について―  東京学芸大学 藤井久美子
  5. 墓誌の形制に関する一考察―許阿瞿画像石題記を中心として― 東京学芸大学 朝山一人
  6. 北宋末の書に関する一考察―徽宗皇帝の書画学設置を中心として― 東京学芸大学 神原徳子
  7. 徐三庚と趙之謙の刻印におけるC派の受容形態 新潟大学 角田勝久
  8. 空海の書法研究における方法試論―曼茶羅による説明から真言による解明へ― 早稲田大学 綾部宏行
  9. 良寛と円通寺の修行 新潟大学 加藤D一
  10. 「日本近代の書」論考―明治期における展覧会の歴史と書壇萌芽の背景を中心として― 東京学芸大学 萩原千鶴子

 本大会が開催された岡山県、その倉敷市の円通寺は、良寛が若き日修行をした寺として知られている。「良寛と円通寺の修行」は、それにちなんだ発表であった。発表者の加藤氏は永年の良寛研究の成果を踏まえ、良寛にとって円通寺で修行した十二年間がその生涯とどのように関わり、影響を及ぼしたのかについて深い考察をおこなった。

 恒例となった学会員の作品展も岡山県総合センターを開場として開催され、九十点を越す作品が観覧者の目を楽しませた。

 書道という分野の中でも実に多様な切り込み方・掘り下げ方があることを改めて認識させる発表内容であった。研究の一層の進化と発展を祈りたい。

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