<========================= 選択のページに戻る ========================>

全国大学書道学会に参加して

(金沢大学大学院生) 新谷幸一  

 十一月二十六日、山梨大学において全国大学書道学会が開催された。発表は午前の部三件と午後の部三件で行われた。それぞれの発表の題名と発表者については次のとおりである。

午前
 @「石鼓文に関する一考察」 篠田幸夫
 A「龍門造像記考ー義邑造像を中心としてー」 橋本栄一
 B「建安十年の『立碑の禁』に関する一考察」 濱田瑞美
午後
 C「秋史金正喜の書美ー秋史書法理論と隷書作品の比較分析ー」 李華真
 D「藤原俊成筆書跡の再検討ー『顕広切』『御家切』を中心にしてー」 大曽昭和
 E「高村光太郎の書の研究」 川俣徳子

 「建安十年の『立碑の禁』に関する一考察」は後漢時代の経済状態や立碑にかかる金額の様子を調査し、「立碑の禁」が単に経済的弊害から禁止されたのではなく、立碑による名声誇示を禁ずる目的があったことを考察している。
 「秋史金正喜の書美」は、朝鮮で高名な金秋史の紹介がなされ、伊秉綬の隷書と比較しながら、秋史の書の特徴について考察している。
 「高村光太郎の書の研究」は、高村光太郎の書風がある時期に一変しているという考えから、その書風の変遷について探ったものである。また、その変化は彫刻・詩・絵画にも見られるとして、それらの諸芸術と関連づけられ、高村光太郎にとっての書の位置づけについて考察している。
 来年の大会は十月第二週に岡山で開催される予定となっている。

<========================= 押木研究室に戻る ========================>