コンピュータ時代の書写指導について

−インターネットと書写CAI−

 
 
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 まず、コンピュータは書写指導をどう変えるかということについて、少し私なりに考えてみることにします。

 ワープロ・パソコンの登場で、手書き文字の使用場面が減るという考え方があります。ちょっと前まではまったくその通りだったと思いますが、マルチメディアの登場で少し変わってきました。たとえばインターネットのWWWで、児童生徒の作品を展示することが出来ます。秋田県の竹村先生のページ(漢字仮名交じりの作品が楽しい)は、この分野の先駆けといって良いと思います。自分の書いたものを大勢の人に見てもらうことは、子供も大人もおなじくうれしいことではないでしょうか。実際、竹村先生と生徒さんのところには、当初海外からも感想が届いたりしたようです。ここで知っておいていただきたいのは、竹村先生をはじめとして、特別コンピュータにくわしい人がやっているわけではないということです。

 つぎに、書写CAIについてお話ししておきます。最近、書写のCAIはないのかという問い合わせがあります。書写とCAIはなじむものでしょうか。CAIは将来的に、人間が指導するような暖かみはないとはいえ、個に応じた指導の可能性を持つと考えています。また、できあがった字の形を決定するのは、書く際の動きです。教師は、毛筆で大きな字を書いている場合を除けば、子どもたちの筆記具の動きまでじっくり観察することはできません。その点コンピュータは、動きを把握できる可能性を持ちます。この意味でも、大変期待できるものです。

 まだ残念ながら、このような期待に添えるだけの機能をもったソフトウェアは開発されていませんが、教師を補助するといった意味ではさまざまなものが開発されています。具体的には、私のインターネットのページに紹介してありますのでご覧下さい。(添付資料) 研究段階のものとしては、香川大山崎先生の筆記速度によるCAI、中部大小森先生の動く画像を見ながら練習するもの、中部大吉村先生らの筆順と形をチェックするものなどがあげられます。市販品としては、ナゾラーという筆順CAI、ことばの世界の漢字の成り立ちなどがあげられます。

 ワープロ・パソコンは、手書き文字・書写・書道を減少させるものだとして毛嫌いすれば、逆風になるかも知れません。一方、積極的にこちらから使っていけば、大いに役立つものになってくると思います。どちらを選択する人が多いかによって未来は異なるように思います。実際、IGSという国際学会でも、「コンピュータ世代の子どもたちのための書字指導」といった発表がおこなわれています。

  (1997.04.30)

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