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交流の大切さ(芸交祭に寄せて)

 ある学生が言った。もし手で文字を書くことの理想像が「正・整・速」だけであったなら、ワードプロセッサでも一緒だと。一人一人が手で書いた文字には、それ以上のものがあるように、私は思う。その最たるものが、「書」とは言えまいか。

 書作品の形は、できあがったものを見ればわかる。しかし、その形を作り上げるのは、一人一人の、その時々の動きによっている。こんな時代だから、著名な書作家の書いている姿を収めたビデオが売れているという。自分たちの仲間をのぞけば、残念ながら他の人が書いている場面を見るということは決して多くはない。その点、今回の芸交祭は、他の人が書いているその息づかいを感じる良いチャンスだと思う。

 「書」の良さは、当然見た目にある。しかし、その奥には人間性があるということは古くから言われている。人と人との交わりの中で自分を磨くという意味では、毎回の芸交祭は大変有意義な行事だと思う。せっかくのチャンスを大いに生かして欲しいと思う。

 末筆になりましたが、ご協力いただきました皆々様に顧問として心より御礼申し上げます。