書道部展パンフ2000ご挨拶

書の技巧と感性(第31回展に寄せて)

旧顧問 押木秀樹

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 金沢大学書道部学外展にご来場いただきまして御礼申し上げます。

 書について一般の人と話をしていまして、作品のオリジナリティやおもしろみといった話とともに、字のうまいへたが話題となることがよくあります。作品の良さよりも、日常に見かける字の巧拙の方が親しみやすいためかも知れません。かつて、書家はアルティザン(職人・熟練者)であるか、アーティスト(芸術家)かという議論もあったと聞きます。書をやる上では、技巧がだいじなのか、創造性が大切なのか、またどちらが先に必要な条件なのか。

 書をはじめる目的はさまざまであり、作品制作に取り組む場合にもその方向性は個々に異なるとすれば、技巧と創造性のどちらが大事かという議論ではなく、そのバランスを個々に考えていくことが大切なのかも知れません。学生諸君には、多くの作品を見るなかで自分自身の求めるものを意識し、そして基礎的な練習を積んで欲しいと思います。

 ご来場の皆様、どうかきびしいご叱正と励ましをお願い申し上げます。