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楽しいことを仕事とすべきか

 「趣味は何ですか?」と聞かれたときに、「車」と答えることにしている。車をどうすることが趣味なのか、ということは別にして、まあとりあえず納得していただける。ここまで到るには、結構な時間がかかっている。
 子供の頃、字が下手で習い始めた書道だが、大学二年生の時に専攻にしてしまった。それでもまだ二つ目の勤務校で書道を教えるようになるまでは、趣味といって良かったと思う。
 学生時代にコンピュータを使い始めた。書道が趣味とばかり言っていられなくなってからも、書道は専門で趣味はコンピュータと言って何の問題もなかった。
 そのうち、コンピュータを使った書道関係の研究をしていることが知られてくると、コンピュータもほとんど仕事で趣味ではなくなってきた。
 そんなころちょっと悲しいことがあり、同じ年、体調を崩し入院、二ヶ月寝たきりというおまけもついた。退院後、ベテランの同僚教師が、「趣味を持つべきだ」とアドバイスしてくれた。その時はすでに、書道もコンピュータも仕事になってしまっていた。仕事であってもそれらは楽しかったが、人生の先輩の言うことに従うことにした。その時浮かんだのが「車」である。小さい子から大きい子(?)まで、男の子には車好きが多い。私も子供の頃から好きだったが、他の人より多少詳しかったのは、趣味を持つともっと知りたくなってしまう性分からであろう。
 研究(含む実作)という仕事も楽しい。好きなことをやって仕事になるなんて、つくづく幸せだと思う。一方、車についても世間一般の常識からすると、ずいぶん詳しく見えるところまで来てしまったようだ。でも、趣味を仕事にするのは、このあたりでやめておこうと思うこのごろだったりする。

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