■ 一回性と再現性〜坂本龍一・福岡伸一の対談(文春オンライン)を読んで〜 | Date: 2023-04-12 (Wed) |
坂本龍一氏がお亡くなりになり、その特集などが組まれていますが、文春オンライン
で「《追悼》もう相棒のような感じです 亡くなった坂本龍一が 古いアナログ・シンセサイザーの音 にこだわり続けた理由」という記事を目にしました。
音楽のことは詳しくありませんが、シンセサイザーというとプログラミングとデジタル音源から再生される無機質なイメージがあります。しかし、アナログシンセサイザーを用いることについて、坂本氏は「シンセサイザー自体、人工物に見えて実は自然の「もの」なんですよね。」と語っておられます。だから一回性という点での価値があるということも述べています。
一方で、福岡氏は「再現性がないといけないと言われる科学においても、一回性と再現性のせめぎ合いが」あること、そして生物を扱う科学では、「現実には毎回少しずつ違うことが起きている」ことについて述べています。
書字行為について扱っている場合も同じことで、字体は一定である必要があるが、字形は手書きの場合は毎回異なります。手書きすることの価値の大きな部分は一回性にあるといっても良いだろうと思います。パラ言語的な要素の研究においては、毎回の差異の部分を扱うというふうにも捉えて良いかも知れません。一方、読みやすさや書きやすさといった部分については、一貫した部分が重要になります。
改めて、YMOを聞いてみたくなりました。
※『音楽と生命』 #1 《追悼》「もう相棒のような感じです」亡くなった坂本龍一が
「古いアナログ・シンセサイザーの音」にこだわり続けた理由
坂本 龍一 福岡 伸一
文春オンライン
https://bunshun.jp/articles/-/61951