正しい持ち方、望ましい持ち方について-1600年頃は?- Date: 2021-10-22 (Fri) 
 2020年の1月に、連合大学院の仕事で、大阪に出張しました。帰りに、あべのハルカス美術館で、「カラヴァッジョ展」を見ました。

 1606年頃に描かれた「執筆する聖ヒエロニムス」という作品があります。インターネット上で画像検索すると出てきます。

 大学へ戻り、ゼミで「執筆する聖ヒエロニムス」を見てきた報告をしました。聖ヒエロニムスの右手をアップにすると、筆記具の持ち方がよくわかります。現物を見ると、大きいので、大変よくわかりました。

 この筆記具の持ち方は、現在、書写教科書などに載っている「いわゆる正しい持ち方」、「望ましい持ち方」と一致します。

 なぜ「いわゆる正しい持ち方」、「望ましい持ち方」は、こうであるべきなのか? おそらく、分析的な説明、人間工学的な説明をしても同じ結果に到達すると思いますが、人間が手指の巧緻性を十分に生かして棒状のものを扱おうとしたとき、適する把持方法がこれなのではないかと思います。少なくとも、1600年であっても、2020年であっても。

 書写教育の立場から、分析的な説明、人間工学的な説明を試みることも重要だと思いますし、やるべきかと思います。しかし、今、重要なのは、巧緻性を十分生かすことができない持ち方で、微細な書字動作をしていることの理由を明らかにして、対応することではないかと思います。そのことは、改めて書きたいと思います。



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