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筆跡と心理・性格に関する図書 |
Date: 2004-11-12 (Fri) |
テレビにて、筆跡と性格に関する番組が放送されました。
発掘!あるある大事典2 第31回『筆跡でわかる!本当の自分』(11月7日(日)21:00〜21:54放映)がそれです。見損ねた人も、以下のwebからその概要を知ることができます。
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search2/aru31/31_1.html
そのためか、私のところへも関連する本が知りたいというe-mailが届きました。私の立場は、graphologyではなく、graphonomicsの側にありますが、一応、日本語の筆跡心理学関係の文献などについて、知っているところを書いておくことにします。(ただし、こういった研究等について、学生の皆さんなどにお勧めしているわけではないことを、お断りしておきます。)
まず最初に、なかなか手に入らない本を紹介しましょう。なぜ、そんなものを紹介するのか?
テレビや諸情報において、日本の筆跡学・筆跡心理学はそれほど古くないとか、50年程度だとしていることがあります。しかし、心理学の分野における筆跡研究は、大正8年の段階でかなりのレベルに達していたのです。
0.松本亦太郎他 心理学叢書 書及び書方の研究 心理学研究会出版
もし近隣に大きな図書館があるなら、斜め読みだけでもしてみて欲しいと思います。大学生の皆さんで興味があるなら、ぜひお薦めしておきます。きっと、そのレベルには驚かれることと思います。逆にあれから80年たった今、なぜこのレベルなのだろうとも、、、。
(その後、研究する人が少なかったのですね。)
次に、新本を入手できるかどうかわかりませんが、比較的普通の図書館にもある本を記します。
a.黒田正典『書の心理−筆跡心理学の発達と課題−』誠信書房 1964.07/1980.01
b.槙田仁『筆跡性格学入門』金子書房 1992.01
c.槇田仁『筆跡から性格がわかる−1文字でできる性格判断−』
講談社(ブルーバックス)1997.1
aは、入手が難しくとも、必ず読んでおくべき本だと思います。歴史的背景なども理解できますので大切だと思います。
なお、いずれも古い理由は、最近の心理学の研究において、粘着質・分裂質・循環質といった分類をおこなわない=興味がない!?ためではないかと推測します。間違っていたら、どうか訂正のe-mailをお願いいたします。
また、求めていらっしゃる方向性とは離れると思いますが、以下のような本もあります。
d.妻倉昌太郎『書道心理学』啓明出版 1989.06
e.禰津和彦『書道心理学入門』木耳社 1989.08
f.小野瀬雅人『入門期の書字学習に関する教育心理学的研究』風間書房 1995.1
dとeは、心理学系の人が書かれたものではなく、どちらかというと書道系の人が書いたものですが、当時の心理学の水準の上で書いておられます。
fは、近年でも心理学の分野において、書字に関する研究がおこなわれていないわけではないという例として、他の本とはかなり違いますが、追加しておきました。
最後に、、、字から人を想像したり、書いたときの状況を想像したりするのは、とても楽しいことだと思います。手書きされた文字のおもしろみともいえるでしょう。その意味で、私は大賛成です。ただし、筆跡から安易にその人のパーソナリティを判断するのはどうかと思います。
この部分については、楽しいこと・おもしろいこと・(暖かみなどを)感じること、としておくのが良いように思いますが、いかがでしょうか?
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