<パソコンとインターネットで広がる書の世界> 第4回

書のバーチャルミュージアム(2)


はじめに

 今回も、本題に入る前にご紹介したいものがあります。図の台北の故宮博物院精選『国の重宝』というのがそれです。(台湾の故宮博物院にて購入可能)故宮の文物がCD-ROMになっているのです。
 もちろん、文物全般に渡っていますので、書に関するものが多いというわけではありません。それでも、金文から条幅までさまざまな書を、作品名と年代から検索して見ることができます。
 たとえば右図は北宋の作品のページで、蜀素帖と朱熹の書とをありますね。このうち、朱熹の書をクリックすると次の図があらわれます。
 さらにこのページから、タイトルをクリックすることでその説明が、図版をクリックすることで、図版が画面一杯にあらわれるのです。どうでしょう、前回お話しした仮想、書のCD-ROMに大変近いものが市販されているのです。
 それでは、前回に引き続き、3冊の『墨』がひとつのCD-ROMになったらということで、仮想CD-ROMをご覧いただくことにいたしましょう。




解説の解説を読みたい

 前回は、CD-ROMをパソコンに入れ、「作品で選ぶ」「作家で選ぶ」「地図で選ぶ」「年表で選ぶ」という四つの方法から、「作品で選ぶ」を使って「孔子廟堂碑」のページを開きました。そして、「その本物の拓本を見るには、どこにいったら良いのだろう?」という想定のもと、画面の「三井文庫蔵」と青い字(モノクロでは印刷の薄目の字)で書かれているところを、クリックするところで終わりました。



美術館がわかる!

 さてクリックするとどんな画面になったでしょう。今度は『墨 書のある美術館めぐり』から「三井文庫別館」が表示されました。簡単な解説の他、右下には「主な収蔵品」「所在地・地図」「休館日・入場料等」と表示されています。次の日曜日には、ここへ行ってみましょうか。休館日をクリックして確認、そして地図をプリントアウトすればOKです。ついでに孔子廟堂碑以外の収蔵品についても予習したいですね。



地図から見る

 孔子廟堂碑くらいご存じですか。三井文庫には行ったことがありますか。では新たな古典にチャレンジするとき、どうします? 中国書道史の本を開き、甲骨文から見ていきますか? 書の愛好者の皆さんは、中国に行きたい、もう一度行きたいと思っていらっしゃる方も少なくないものと思われます。それでは、「地図から選ぶ」はどうでしょうか?
 地図を見ていると、「曲阜・孔子廟」というのが目にとまります。ここをマウスでクリックしてみましょう。



曲阜・孔子廟の漢碑

 『墨 中国碑刻紀行』から「曲阜・孔子廟の漢碑」のページが表示されました。今度はどこをクリックしましょう?
 陳列品一覧をクリックして孔子廟の石碑、禮器碑・乙瑛碑・孔宙碑などを見ましょうか。あれ、孔子廟堂碑がありませんね。そうそう先ほどのページで、西安碑林に重刻碑があるとありました。それでは前の地図に戻って、西安をクリックしますか? それとも、説明文の中の「泰山」が青い文字になっています。ここをクリックして、あの雄大な泰山金剛経を見ましょうか?

 「もうきりがないよ」って、そのとおりです。興味のあるところを次から次へと見ていくことができるのです。

 また、ここでご紹介したページの開き方ばかりでなく、

といった選び方もできるはずです。特に、最後の「センスで選ぶ」については難しい問題でしたが、絵画の世界では徐々に研究が進みつつあります。「こんな作品が見たい」という希望で作品を見ることができたら、初心者の方には大変便利かも知れません。高校の授業における鑑賞の時間などにも、期待されます。

 「これなら書の世界が楽しく学べそうだ」「中国旅行でも、どこで何を見たらよいか簡単にわかる」といった声が聞こえそうです。しかし、これは私の空想のCD-ROMでした。パソコン技術の進歩により、技術的には作れるようになりました。後は、これが売れるような商品になるかどうかにかかっています。その日を待ちつつ、次回に続きます。



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