研究室へのQ&A

     →戻る

 
 
 大学進学を考えている高校生の皆さんや、一般の皆様からのご質問をいただくことがあります。それにお答えするページをじょじょに作っていくべきかと考えました。まだ、ほんの少ししかありませんが、よろしくお願いいたします。

ご質問


大学にて書道,それも硬筆の方を専門に学びたい

 まず、硬筆の何を、何のために学びたいのかが、問題になりそうです。

 毛筆を使った書について考えた場合、
	・(実利的に)高等学校芸術科書道免許の取得
	・(純粋な芸術として)芸術家としての書家をめざす
	・(純粋な学問として)書を芸術・美学的に研究する
などがおおざっぱに考えられます。これらを専門的に学べる大学はあります。

 次に、硬筆ということを上記に当てはめて考えますと、芸術の分野として
硬筆を用いた分野は確立していないと思います。(表現としてはあり得る
とは思いますが。) ですから、硬筆を用いた芸術家を養成することを
専門とする大学・学科はないと思います。同様に、硬筆で書かれたものを、
芸術として研究しようにも対象がなく、そのような分野を持つ大学・学科も
当然ないと思います。

 一方、教育という点から考えると、小中学校の国語科には、硬筆による
書写学習が必修となっており、小中学校の教員免許をだす大学では、
本来的に硬筆に<関する>何らかの勉強をするという理屈になります。

 また多くの国立大学の教員養成系学部において、国語科には書写書道など
を指導する教官がおり、ゼミがあります。教官の専門分野・学生の研究
内容もさまざまですが、書写教育を専門とする教官は少なからず、硬筆を
用いた指導を取り扱いますし、私のように日常文字を書くことについて
研究している教官は、当然硬筆の文字を取り扱います。

 すなわち、その人本人の硬筆の字をうまくするということを主たる目的に
した講座は少なくとも私が知る限りありませんが、硬筆の字をどの
ように教えるか、硬筆の字を研究対象として扱う大学はあるということに
なります。また、硬筆による芸術表現を考えるためには、毛筆による書の
表現を学べる大学・学科ですとか、その他の芸術学部などでセンスを身に
つけて、その後、その分野を自分自身で開拓することになるかと思います。
一方、単に自分自身の字をそこそこ上手にしようという程度なら、大学で
なくとも勉強できるということかも知れません。

 上記のように、教員養成学部でよければ、いくつかの大学で、硬筆の字の
教え方・硬筆の字の研究はできます。たとえば、教育・指導方法については
兵庫教育大学の小竹先生の研究室などがその代表といえると思います。また、
硬筆で文字を書くことの研究という点では、うちなどもそれをやっている
です。各教官の専門性については、Webで詳しい内容を表にだしていたりしな
いと、なかなか受験生はわかりませんよね。今後、受験生が内容をわかるよう
なものにしていかなければならないと、考えています。

(以上の文章は、ある方からのご質問に答えたものに修正を加えています。)