いろいろ練習してもうまくなりません。どうしたらよいですか? 

2002.12.10

押木秀樹

 


 簡単に書くと、「いろいろ練習してもうまくなりません。どうしたらよいですか?」という質問をe-mailでいただきました。忙しくて、しばらくして返事を書いたのですが、e-mailのアドレスが変わってしまったようで、エラーが返ってきてしまいます。検索すべき情報もありません。

 答えにもなっていませんが、とりあえず、Webに載せておくことにしました。質問も、下さった方の生の状態ですが、個人を特定できる情報は含まれていませんので、そのまま掲載させていただきます。


> 私は字が汚いので自分に自信がもてないです。
> 何か参考になる本、練習方法などあれば紹介していただければと
> 思います。

確かに私は、読みやすい文字を書くにはどうしたらよいかという
ことを中心に研究しておりますが、この問題はそう簡単に解決できない
のではないかと思っています。

その理由として、いわゆる字が上手に書けない場合、その原因が
どこにあるのかはっきりしていない、また1人1人原因が異なって
いることさえ考えられるからです。

たとえば、手指は器用に動くのだけれども、いわゆるお手本の
字形(や自分自身の字形)を上手にイメージできない場合もありうると
思います。次に、字形は十分イメージでき、手指も器用に動くが、
記憶として残らないという場合もあるかも知れません。さらに、
手や指がイメージ通りに動かないという場合もありそうです。
これらの原因は、発達段階や1人1人異なっていると思われます。
それらの原因によって、対処の仕方も違ってくるのではないかと
思います。

現状としては、原因を明確にする方法が検討されつつある程度ですし、
具体的な対処も勘や経験を頼りにしているという状況です。
私自身も、研究とは別に、個別に、、臨床的にと申せばよいでしょうか、
とりあえず対処しなければならないこともありますが、その部分では
経験で試してみるしかないというのが正直なところです。

直接書くところを見つつ、経験的にこんな練習をすればよいという
指示をするのも、実は難しいように思っています。(たいてい、
いろいろなことをさせているうちに、上手になっていきますが。)
e-mailでは、書くところを見ることもできませんし、また原因の
一端となることを読みとることもできません。いずれにしても、
e-mailにて臨床的な対応は難しいように思います。

> 今までいろいろな本などみて試してみたのですがなかなか
> うまくならないのです。

何をどう試されたのかわかりませんが、とにかく一般論をということであれば、
	・いわゆる正しい持ち方に直す。
	・手本をすぐ横においた状態で書いても上手に書けない時は、
	 十分似た形で書けるようになるまで、手本に紙を載せて、
	 なぞる練習をする。
	・字形等の特徴について書かれた本を読み、練習する。
	 (この本が良いというわけではありませんし、タイトル通りになる
	  かどうかはまったくわかりませんが、今簡単に手に入る本
	  として、次の2冊は書店においてあることが多いようです。
		・清水雅滋『悪筆が3時間で直る本』/木耳社
		・時光華『あなたの字はもっとうまくなる』/青春出版社)
	・安定して書けるようになるまで、練習帳を繰り返す。
という感じになろうかと思います。だれでもわかるようなことですが、一応と
いうことで。