古川「筆跡に関する行動科学的研究」



Back

 古川氏のこの論文は、書字速度の波形が筆跡のストロークに対応していることを明らかにし、速度波形をガウス型波形に近似する手法を用いることを提案、そして(中略)速度データから2次元の字形を整斉しているところなどが興味深い。その意味で、書字速度と個人性などに興味を持つ人にはおもしろい論文だと考える。

 一方で、この論文の「1.はじめに」〜「2.運動記憶研究の流れ」の部分は、文字を書くことと運動記憶の研究との関係が極めてわかりやすくまとめられている。この部分は、速度の分析手法に限らず、書字運動について研究を始めたいと思っている人にとって極めて参考になるものと思う。以下、その要点を抜き出させていただく。(なお、この論文自体もお薦めではあるものの、内部資料であるため、閲覧許可が必要だそうです。)


書字の記憶とモデル化 p.1

運動記憶研究の流れ

  1. 閉回路制御理論から汎用運動プログラム理論へ
  2. 書字スリップと空書行動
  3. 記憶論からみた運動記憶
  4. 描画運動にみる法則性
  5. 計算論の分野における運動学習
  6. 書字運動のモデル