今大会で四十回を向かえる全日本書写書道教育研究大会(略称:全書研)が、埼玉県大宮市の大宮小学校ほかを会場に、十月二十九日・三十日の両日開かれた。
今年は「豊かな心を育む書写書道教育」をメインテーマに、小学校部会は「書く喜びを味わう書写学習」、中学校部会は「自ら学び豊かに表現できる書写学習」、高校部会は「豊かな創造性を育む書道学習」、大学部会が「自己学習力に必要な教員養成における教科教育の在り方」の各テーマのもと、公開授業や活発な討議が行われた。特に公開授業は、大宮小学校および桜木小学校の二校計六授業、植竹中学校の二授業、全国初の書道科設置校である大宮光陵高等学校における六授業が設定された。筆者はこのうち大宮小学校での授業と分科会に出席した。この内容を中心に紹介する。
小学校二年生を対象とした「かん字のがくしゅう(文字の形)「四・工・自・貝・万・市」」は、大森先生・長嶋先生のティームティーチングによっておこなわれた。書写の学習に意欲的ではあるが、ノートや日記などで内容に意識が集中すると字形に対する配慮が薄れがちになる児童の実態を踏まえ、文字の概形を意識した書写学習をおこなった。その際、大会テーマおよび、一人一人のよさを生かす手だてとして、
また、一人一人の活動を全体に広げる方策として、OHCを効果的に活用していた。(写真参照)これらの工夫が、通常の授業において常に活用できるかというと、それは難しい部分もあろう。しかし、それらの基礎となっている考え方、たとえば学習の多様化、児童相互の関わりによる向上、またEの学習内容を日常に広げる工夫などの点は忘れてはならないものと考える。
授業自体を拝見することはできなかったが、植竹中学校の配付資料における、筆記具の持ち方に関する実践記録や、学習意欲向上モデル図なども大変参考になるものであった。
来年度の全書研大会は、東京江戸川区にて二000年十月十二・十三日に開催されることが決定している。更なる充実を期待して、大宮大会の報告をしめたい。